蔡英文総統が政府を代表して原住民に謝罪

原住民族の日にあたる1日、蔡英文総統は総統府で原住民に対し、これまでの不平等な扱いを謝罪した。
蔡英文総統、先住民に謝罪 平等な国家建設呼びかけ 中央社

総統府新聞稿から


総統は政府を代表して原住民族に謝る
公布日期 中華民國105年08月01日

蔡英文総統は今日(1日)午前政府を代表して原住民族*に謝罪した。
*)漢語で「先住民」と表記すると、「すでに滅んでしまった民族」という意味が生じるため、この表記は台湾では用いられていない。しかし日本語では「原住民」が差別的な意味合いを含むとして、積極的に「先住民」「先住民族」を使ったほうが良いとする考え方もあり、日本のマスコミでは基本的に「原住」を「先住」と言い換えている[要出典]。台湾原住民より

午前9時30分、総統府正大門前で叫びの儀式(原文は呼喊儀式)が始まり、参加する民族が善意を持ってやってくる事を象徴し、現場ではまた穀物(小米梗)を燃やし、原住民族の祖霊を一緒に招いた。総統は大門入り口で参加する民族を迎え総統府に入った。その後経国庁で謝罪の儀式を開催した、まずブヌン族の伝統祈りの儀式で耆老胡金娘が酒を注ぎ、祖霊に総統を認識できるようにさせ、また祖霊に一切が順調にいくよう祈った。引き続き違う宗教の神職が声を揃えて祈り、神と祖霊が共にこの歴史的時間の証人になるよう祈った。
祈りの後、総統は正式に謝罪文を発表した、謝罪文の全文は以下:

 二十二年前の今日、我達は憲法の条文の中の「山胞」を正式正名の「原住民」に加筆修正した。この正名は長い間差別を伴った呼称を除くだけでなく、原住民族が台湾の「元来の主人」の立場だとはっきり示した。
 この基礎の上に立ち、今日、我達は更に前に一歩踏み出さなければならない。私は政府を代表して、原住民族全体に我達の深い謝意を述べたい。過去四百年来各位の受けた苦痛と不公平な待遇に対して、私は政府を代表して各位に謝る。

 私は信じる、今日までずっと、我達の生活の周囲で、一部の人は謝る必要はないと考えている。これこそが今日私が政府を代表して謝罪する必要がある最も重要な原因だ。過去の種々の不公平を当然とみなす、或いは過去のその他の民族の苦痛を人類発展の必然の結果と見なす、これが私達が今日ここに立って、改変し逆転しようと意図する第一の観念だ。
 私に簡単な言語を用いさせ、原住民族に向かってなぜ謝罪しなければならないかの原因を表明させてほしい(讓我用很簡單的語言,來表達為什麼要向原住民族道歉的原因)。台湾この土地で、四百年前既に人が住んでいた。これらの人は元来自分たちの生活をして、自分たちの言語、文化、習俗、生活領域を有していた。次に未だ彼らの同意を経ないまま、この土地に別の一群の人が来た。
 歴史の発展は、後から来たこの一群の人が元来のこの一群の人の一切を剥奪した。彼らを最も慣れ親しんだ土地から離れさせ異郷の民にし、非主流、辺境の民にした。
 一つの民族の成功はその他の民族の苦難の上に打ち立てられるものかもしれない可能性が高い(一個族群的成功,很有可能是建立在其他族群的苦難之上)。私達が自己が正義の国家だと宣言しなければ、この歴史は正視する必要、真相を話しだす必要もない。そして最も重要なのは、政府がこの過去のため真摯な反省をしなければならない、これが私が今日ここに立っている理由だ。
 「台湾通史」という本がある。その序文のはじめに書いてある「台湾固より史無し。オランダ人之を啓き、鄭氏之を作り、清代之を営む」これが典型的な漢人の史観だ。原住民族は早くも数千年前この土地の上で、豊かな文化と知恵を有し、代々伝えていた。しかし、私達はただ強い民族の角度から歴史を書いてきた、このため私は政府を代表して原住民族に謝る。

 オランダと鄭成功政権は平埔族に対しての虐殺と搾取、清朝時代の重大な流血衝突と鎮圧、日本統治時代は全面的深く理番政策,戦後中華民国政府の施行した山地平地化政策までずっと(荷蘭及鄭成功政權對平埔族群的屠殺和經濟剝削,清朝時代重大的流血衝突及鎮壓,日本統治時期全面而深入的理番政策,一直到戰後中華民國政府施行的山地平地化政策。)。四百年来、やって来たどの政権も武力征伐、土地略奪を通して、原住民族の有していた権利を強く侵害した。このため私は政府を代表して原住民族に謝る。

 原住民族は伝統的な慣習に依拠して部落の秩序を維持し、また伝統的な知恵で生態の平衡を維持していた。現代国家体制を打ち立てる過程で、原住民族は自分たちの自治自決権を失い、伝統社会組織は瓦解し、民族集団の権利も承認されなかった。このため、私は政府を代表して原住民族に謝る。
 
 原住民族本来の彼らの母語は、日本時代の同化と皇民化政策及び1945年以後の政府が民族の言語を話すことの禁止を経て、原住民族の言語が大きく失われた(原住民族本來有他們的母語,歷經日本時代的同化和皇民化政策,以及1945年之後,政府禁止說族語,導致原住民族語言嚴重流失)。圧倒的多数の平埔族の言語は既に失われた。歴代の政府は原住民族の伝統文化の維持に対してあまり積極的ではなかった、このため、私は政府を代表して原住民族に謝る。

 過去、政府はタオ族が何も知らない状況の下、核廃棄物を蘭嶼に置き、蘭嶼の民族に核廃棄物の障害を与えた。このため、私は政府を代表してタオ族に謝らなければならない。

 外来者が台湾に進入してきて以来、西部平原に居住する平埔族が真っ先にその矢面に立った。歴代統治者は平埔族の個人と民族の身分をなくした。このため、私は政府を代表して平埔族に対して謝らなければならない。

 民主化の後、国家は曾て原住民族運動の訴えに応えた。政府はいくつかの約束をした、またいくつかの努力をした。今日、私達は相当進歩した「原住民族基本法」がある、しかし、この法律はまだ政府機関に普遍的に重視をされていない。私達がすることは十分は早くなく、十分に全面的でなく、完全ではない。このため、私は政府を代表して原住民族に謝らなければならない。

 台湾は「多元文化」の社会と名乗っている。しかし今日までずっと、原住民族は健康、教育、経済生活、政治参加等多くの面での指標はなお非原住民族の存在と落差が大きい。同時に、原住民族に対する固定観念や差別視はなお消えていない。政府のしていることは十分ではない、原住民族にいくつかのその他の民族が経験しない、感じない苦痛と挫折をもたせている。このため、私は政府を代表して原住民族に謝らなければならない。

 私達の努力は十分でなく、且つ各時代に早めに私達の努力が十分ではないと気づくことができなかったため、各位に苦しみを今日までずっと与えてきた。本当に申し訳ない。
 今日の謝罪は遅すぎたけれども、しかしこれは始まりだ。私は四百年来原住民族が受けてきた苦難傷害が一篇の原稿、一言の謝罪で収まるとは期待していない。しかし、私は衷心より期待する、今日の謝罪がこの国の中のすべての人が和解に歩み出す始まりだと。

私に一つの原住民族の知恵を使って今日の場合を説明させて欲しい。タイヤル族の言語の中で「真相」は Balay と呼ぶ。そして「和解」は Sbalay と呼び Balay の前に S の音をつける。真相と和解、実際二つは関連する概念だ。言い換えれば、本当の和解は誠実に真相に向き合う事を通してのみ達成可能なのだ。
 原住民族の文化の中で、ある人が部落内の他の人に悪いことをした場合、長老は加害者と被害者を一箇所に集める。一緒に集まっても直接謝るのではない、そこで各人は率直に自分の心の過程を話す。この真相を話す過程が終わった後、長老はみんなといっしょに酒を飲み、過去を真の過去にさせる。これが Sbalay だ。

 私は今日の場合も一つの政府と原住民族の間の Sbalay だと期待している。私は過去の間違い、過去の真相をことごとく余す所なく話す。しばらく待って、原住民族の友人が考え方を話すだろう。私は敢えて各位に今許しを要求しない、しかし私は心より皆さんに希望を持って欲しいと思う、過去の間違いは絶対に繰り返さない、この国家は、いつの日か、本当に和解に歩み出すことができる。
 今日はただの始まりだ、和解するかどうかの責任は原住民族と平埔族の側にあるのではない、政府の側にあるのだ。私はわかっている、ただ口頭で謝るだけでは十分ではない、原住民族のために行う一切のことが、この国家が本当に和解できるかどうかの鍵なのだ。

 私はここで正式に宣言する、総統府は「原住民族歴史の正義と移行期の正義委員会」を設置する。私は国家元首の身分で、自ら主催者になり、各民族代表と共同で歴史の正義を追求し、またこの国家の今後の政策方向を対等に協議する。
 私が強調したいのは、総統府の委員会が最も重視するのは国家と原住民族の対等な関係だ。平埔民族を含む各民族代表が生み出すものは民族と部落の共通認識を基礎とする。このメカニズムは原住民族全体での政策決定のメカニズムで、民族の人たちの心の声を本当に伝えることができる。

 別に、私はまた行政院が定期的に「原住民族基本法推進会」を招集するよう要求する。委員会の中で形成される政策共通認識は将来の政府、議会の各層で関連事務を協調処理する。これらの事務は歴史の記憶の追求、原住民族自治の推進、経済の公平発展、教育と文化の伝承、健康の保証、都市部の民族権益の保護等々を含む。
 現代の法律と原住民族の伝統文化が一部で互いに相容れない場合があることに対して、私達は文化的な配慮を備えた「原住民族法律サービスセンター」を設立し制度化計画を通して原住民族伝統習慣と国家の法律規範の間で日増しに増える衝突を緩和していく。

 私達は関係部門に要求する、原住民族が伝統的な習俗で、伝統的な地域で非交易の必要に基づき、非保護動物類を狩猟したため、起訴と判決を受けた事案の整理に直ちに着手するようにと。これらの事案に対して、私達は解決法を研究議論する。
 私はまた関連部門に要求する、核廃棄物が蘭嶼に貯蔵する政策決定の経過に関して、真相調査報告を提出するようにと。核廃棄物が最終処置になる前にタオ族に適当な補償をする。
 同時に、平埔族のアイデンティティーを尊重し、身分を承認する原則の下、私達は9月30日前に関連法規を検討し、平埔族の身分にあるべき権利と地位を与える。

今年の11月1日、私達は原住民族の伝統地域の土地の設定、公告を開始する。部落公法人制度は我々は既に軌道にのせ、将来、原住民族自治の理想は一歩一歩現実化するだろう。私達は足を速め、原住民族が最も重視する「原住民族自治法」「原住民族土地及び海域法」「原住民族言語発展法」等の法案を、立法院の審議に送る。

きょう午後、私達は全国原住民族行政会議を招集する。会議で政府は更に多くの政策を説明する。今後毎年8月1日行政院は全国の人民に向かって原住民族の歴史の正義と移行期の正義の実行進度を報告する。原住民族の歴史の正義を実現し、また原住民族の自治の基礎を打ち立てることは政府の原住民族政策上の三大目標だ。

私が招いたこの場とテレビとネットの放送の前の原住民族の友人達全体には、証人になってもらい、監督してもらいたい、契約書に裏書きしてもらう必要はない。民族の友人に指導鞭撻してもらい、政府に約束を実現させ本当に過去の過ちを改善させて欲しい。
 私が全ての原住民族の友人に感謝するのは、あなた達がこの国家の全ての人に、今立っている大地と古老の伝統にはかけがえのない価値があると気づかせてくれたことだ。これらの価値には尊厳が与えられるべきだ。
 
 将来私達は政策の推進を通して次の世代の民族、各世代の民族、台湾この大地の上の全ての民族に、再び言語を喪失させず、再び記憶を失わさせず、再び自己の文化伝統と疎外されることがないよう、自己の大地の上で流浪し続けることがないようにさせる。
 私は社会全体に一緒に努力して、私達の歴史を認識し、私達の土地を認識し、私達の違った民族の文化を認識することで、和解に向かって歩み、共存と共栄に向かって歩み、台湾の新しい未来に向かって歩むよう要望する。
 私は全ての国民に今日の機会を借りて、一緒に努力して正義の国家、真に多元的で平等な国家を造るよう要望する。

 その後原住民族代表、元第四期郷代、第一期議員、日本統治時代と中華民国政府にまたがり、また二十数年前核廃絶運動の指導者タオ族の夏本•嘎那恩(Capen Nganaen)が民族の言語で回答を発表した、彼は日本の統治時代に生まれ、数日すれば81歳の誕生日になる、今日総統府に来て、総統が政府を代表して原住民族に謝罪するこの歴史的な時間に参加し、深く光栄に感じた。歴代のいかなる総統も正式に原住民族に謝ろうとはしなかった、ただ蔡英文総統のみがこのようにしようと望んだことは、彼を非常に感動させた。蘭嶼の民族の核廃棄物の苦しみを受けたことに対して、彼は総統とみんなに核廃棄物を蘭嶼から移動させる方法を考えることができるよう希望した。今日が和解と協調のまりで、また政府が謝罪の内容を実現でき、互いに愛しあい、助け合い、真の家族となれるよう希望した。

最後に双方は証の品を交換した、まず総統から謝罪文を原住民族代表に送り、総統の原住民族に対する最高の誠意を表し、また政府が約束を実現し、原住民族のあるべき権利を回復させるよう必ず努力することを象徴させた。原住民族の代表は総統に各民族の共通の伝統作物ーアワをお返しに送り、政府が原住民族の歴史と移行期の正義を実現し、アワ同様、台湾のこの大地に芽を出し根を張り年々豊かな収穫を上げるよう共同で期待することを象徴させた。

副總統陳建仁、行政院長林全、司法院長賴浩敏、考試院長伍錦霖、監察院長張博雅、監察院副院長孫大川、立法院秘書長林志嘉、親民黨主席宋楚瑜、時代力量執行黨主席黃國昌、民進黨秘書長洪耀福、總統府副秘書長劉建忻、曾厚仁及びツバル共和國大使等11カ国の駐台外交団及び代表等を含む人が均しく出席し証人となった。


20160801 總統代表政府向原住民族道歉https://www.youtube.com/watch?v=_wSUj0wtINo


国民党の党首洪秀柱は蔡英文総統の謝罪に対して謝って終わりではない具体的にどうするかだと言った。また総統の演説は故意に原住民の史観を使って漢民族史観を排斥しているのではないかとの疑いがある。脱中国化の狙いがあるのではないかと言った。
總統向原民道歉 洪秀柱疑排斥漢民族史觀 自由時報
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